里村明衣子が振り下ろしたカカト

sayokom2018-08-28


センダイガールズプロレスリング里村明衣子が、DDTプロレスリングの頂点、KO-D無差別級のチャンピオンになった。
これはもちろんKO-D18年の歴史の中で初めてのことで、男子の団体のトップのベルトを巻く女子プロレスラーというのはあまり例がなく、とてつもない快挙といっていい。
里村の対戦相手は男色ディーノだった。女子プロレス界の横綱里村明衣子が、ゲイレスラーの男色ディーノに勝った。こう書くと試合を見ていない人たちだったら「ありそう」というふうに感じるかもしれない。でも、いくらゲイレスラーといってもディーノは生物学的に男なんだということを、今更のように今日は試合を見てつくづく感じた。あれほどまでに強く、誇り高い里村が、ディーノにコーナーに追いつめられて立ち上がれなかったり、腕を極められてエスケープまで封じ込められて逃げ場を失ったりするのだ。中でも象徴的だったのが、里村が鬼の形相で鋭いキックの連打でディーノを追い込んでいるのに、そのディーノの身体の圧で思わず腰を着いてしまった場面だった。こんなにまでに男子レスラーと女子レスラーは違うのか。奥歯を噛みしめている自分がいた。
男子だとか女子だとか、ゲイだとかいつでもどこでも挑戦権だとか、そういったことを超越して凄い試合だった。ディーノのキャプチュードも垂直落下式ブレンバスターもえげつなかったけれど、全く容赦のない角度でディーノの頭に振り落とされた里村のシャイニング・スコーピオンで里村はKO-Dに新しい歴史を作り、そしてディーノは両国のメインに立つ道を断たれた(その時は)。
試合後もいろいろあったけれど(参照) 、この日最後にリングに立っていた里村明衣子選手の言葉を何度でも繰り返したい。

「世の中の女性たち、もう我慢する時代は終わってるんだよ。男と対等に勝負出来ないなんて思ってるんじゃねえぞ。私はこれからどんどん男でも女でも強いヤツと対等に勝負してやるから、これからも里村明衣子をよく見ておけ!」

生きづらさを抱える女性の話は巷にも身近にも枚挙にいとまがなく、いくら勇気あるリーダーたちが戦ってくれても世の中は急には変わってくれない。でも、プロレスラーはリングに上がって男と1vs1で同じルールのもとで戦うことが出来る。そして勝つことが出来るのだ。私たちは理不尽な相手と1vs1で拳を交わす事は出来ないけれど、里村明衣子が今日戦って、そして証明してくれたこと、男と戦うことが出来ること、勝つことが出来るということが、戦えない自分たちの勇気になる。何より、里村明衣子を見てすっきりすることが出来る。誇らしく思うことが出来る。それは素晴らしいことだ。
悔しい女性は、里村明衣子を見るといい。絶対勇気が沸いてくる。自分も戦える気持ちになる。男子の頭に踵を思いっきり振り落とすことは自分は出来なくても、里村明衣子が代わりにやってくれる。ありがとう、里村選手。あなたはわたしたちの誇りです。