大好きだった破壊王のこと。

sayokom2005-07-11

はじめてお目にかかったのは1996年、まだサムライが正式開局すらしていない頃。東京ドームの脇にあった仮設スタジオにサムライニュースの記念すべき初ゲストとして来て下さったのが橋本真也選手でした。まだ破壊王はもみあげが長くて後ろ髪も長くて、プロレスの事なんかほとんど知らなかった私の、台本通りの質問にも優しく丁寧に答えて下さった。放送終了後「もう終わった?じゃあう○こ」とか小学生みたいなことを言ったと思ったら片手で私のことを持ち上げて、まるで皿回しみたいにくるくる廻してくれました。スタジオの天井に頭がぶつかりそうで仰天したことを覚えています。

橋本選手はでっかくて豪快で、プロレス処女だった私にとって最もわかりやすいプロレスラーでした。誰もが絶対「はーしーもとっ!」と叫んでしまうあのテーマ曲、問答無用の必殺技の垂直落下式DDT

でもイベントやインタビューで親しくさせて頂くようになると、無邪気で天真爛漫でコドモっぽくて喜怒哀楽が激しい、素顔の破壊王がちょこっとずつ見えてきた。私が知っている破壊王は決して豪快なだけのプロレスラーじゃなくて、繊細で傷つきやすい寂しがり屋さん。

ずいぶん良くして頂きました。地方でイベントなんかあると必ずその後はご飯を食べに連れていって下さって、美味しいモノ何度もご馳走になった。私の知る限り破壊王は大食らいでも大酒飲みでもなく、パスタにサラダなんか可愛らしく召し上がったりしてた。私がびっくりしてるのに気づいたらしく「何だ、俺がパスタ食っちゃ悪いか」とかおっしゃってましたけどね。

そうそう大阪でトークショーがあった時には空き時間に「ミタちゃんはもっとセクシーな格好をした方がええんや」と、すげえ露出の激しいキャミソールを買って頂いたことも。とても恥ずかしくて着られなかったんだけど。着れば良かったなあ。橋本さんの前で。

橋本さんの歌うジュリーは絶品でした。1回だけカラオケご一緒したことがあるんだ。沢田研二が好きで、門田泰明の黒豹シリーズの黒木豹介が好きだって言ってた。ハードボイルドなオトコが好きだって。

番組で私のことを「切り干し大根みたいな」と表して、私がそれにいたくショックを受けていると思ったらしく「フランス料理は毎日食べられないけれど切り干し大根は毎日だって食べられるだろ?そういうつもりだったんだよ」と何度も謝られた。ホントは結構気に入ってました、切り干し大根て言われたこと。

強くて厳しい破壊王も大好きだったし、ハシフカーンや下ネタ満載の破壊王も大好きだった。ハシフカーンの時にリング上でくどくどとインタビューしていたら段々辛くなってしまったらしく小声で「まだやるのか?」と言われたのが可笑しかったなあ。ハシフとして「アサショウリュー、チンギスハーン」とかとんちんかんなことばかりバックステージで喋ってるのにその隣でマネージャーのヒトさんが感慨深く「いいねえ、こういう橋本みたいな華のあるレスラーはそういないよ」としみじみおっしゃってたのも楽しかった。

こんなにリング上で喜怒哀楽をむき出しにしてしまうレスラーもそういなかったと思うし、だからこそこんなにも感情移入出来てしまったんだと思う。小川選手との引退をかけた試合で涙目になって天井を見つめていた破壊王ZERO-ONEで小笠原先生と闘った後、向かい合って正座して涙ながらに礼した破壊王

こんな時に1人でいってしまうなんて本当にずるいよ破壊王。みんな約束していたのに。小川選手とだって元気になったらまた闘わなくちゃって言ってたのに。三銃士トークショーだって続きがあったし三銃士興行だって実現させなきゃいけなかったのに。ニュース侍のインタビューもサヨアリPLUSのゲストももうちょっと待ってね、と言われてたのに。待ってたのに。

最後にお会いしたのは今日のニュースでも流した、去年の8月末のインタビューの時でした。その時に「橋本さんの垂直落下式DDTをまた見たいですよ」と言ったら、「肩壊してから全然やってないもんなあ。また元気になったらやってあげる」と言ってた破壊王。結局見られなかった、垂直落下式のDDT

今でも私は垂直落下式DDTが史上最強の技だと思っているし、「爆勝宣言」が史上最強のプロレステーマ曲だと思っています。これからも自分にカツを入れなきゃいけない時には必ず「爆勝宣言」をココロに鳴らします。

今日のニュースで金沢さんが涙をこらえておっしゃってましたけど、私もリングには上がれないけどこれからもプロレスで頑張る。逃げないで頑張る。

橋本真也、というレスラーを知り、一緒に喜んだり悲しんだり怒ったり楽しんだり出来たことを心から幸せに思い、そしてそれがこんな形でふいに途切れてしまったことを心から悔しく思います。

橋本さん、本当に大好きでした。今でも大好きです。それが本当に悔しくて悲しい。