ともだちができた。

さっき、地震があったね！　びっくりした！　おねえさんが「サバはうんと小さいころ、地震の予知が出来たんだよ」って言ってたんだけどどういうことだろう？　
さて、あらためて。わたしは猫。名前はサバ。きょうはわたしのともだちについて教えてあげる。
こないだ、おねえさんとおにいさんがわたしを置いてずっと出かけていて、夜になって帰ってきた。わたしはまたひとりぼっちで留守番だったので（一緒に行ってもクルマとかいううるさい乗り物に乗せられるのでそれもまた嫌なんだけど）、ふたりが帰ってきた時ちょっと怒りながらお迎えに出たの。怒っててもお迎えに出るんだから可愛いでしょ？　そしたらふたりしてすごいテンションが高くて、いきなりこう言うのよ。
「ほらサバ、おともだちを連れてきたよ！」
そして目の前に降ってきた（ほんとうに降ってきたんだから）のが、この、茶色くて白い、ふわふわした生き物だったってわけ。知ってる、これはウェルシュ・コーギーっていう種類の、犬なんだよね。
わたしはとりあえず注意深くこの新入りの匂いをかいで、悪いヤツじゃなさそうだってわかったので鼻と鼻で挨拶して、それから首もとについてるヒモが素敵だったのでそれをくわえて歩いた。わたしがヒモをくわえて歩くとこの新入りもふわふわとついてきた。わたしに比べてずいぶんずんぐりしてるんだけど、すっごく軽かったよ。
わたしがすぐこの新入りと仲良くなったのでふたりは大喜びして、「名前をつけなきゃ。サバのおともだちだからイワシにしよう、今日からサバとイワシは仲良しだよ」って言ってた。イワシ？　犬にイワシって、またこのセンスどうかしてるよね。
これが、わたしにともだちが出来た、てんまつです。それから毎日、起きるとイワシにあいさつをします。ときどき鼻の先とかを甘噛みしてみたり。
でも、わたし知ってるんだ。イワシはほんとうは風船なんだよね。おねえさんとおにいさんがあんなに喜んでるから、気づかないふりをしてあげてるんだけど。