菊地成孔、という人。

菊地成孔、といって今どれくらいの人が「ああ!」と理解出来るのかわたくしにはよくわからないのですが(例えば世間的には「武藤敬司」と「菊地成孔」のどちらが有名か、というのはかなり興味があるところ)、ジャズミュージシャンで東大講師で異なるテイストのバンドをいくつもかけもっていて歌舞伎町に住んでいてこないだ「情熱大陸」に取り上げられたばかりでお兄さんは作家の菊地秀行で、そして何よりえらい勢いで最近本を何冊も出版している文筆家です。ていうかそもそもこの名前は知らないと読めないけど、「きくちなるよし」と読みます。
私自身はこれまで全くこの方を知らなかったのですが、去年あたりから何となく相方につられて東大の授業にもぐりこんだり小さなジャズバーにサックス2本だけのライブを聴きに行ってしまったり。わたくし正直ジャズは全くダメで、それでもこの方の語り口調や文章は相当に面白いのでそういう意味では菊地成孔という人に興味はあったのです。
しかも。何とまあ、この方はかなり相当に熱烈にプロレス格闘技を愛していらっしゃる! 先月の紙プロでブロディばりにチェーンに花束というお姿でポージングし、インタビューに答えてらっしゃった、そうあれがキクチナルヨシ氏です。ここで「ああ、あのヒト!」と気づいた方も多いと思うのですが。「ジャズミュージシャン」「東大講師」だけでは全然私の生活範囲に入ってくるヒトではそもそもないんだけど、「プロレス好き」ときたらそりゃ素通りは出来ませんから。
そんな菊地さん(プロレス記者歴40年のキクチさんじゃない方)がプロレス格闘技に関する本を出版されました。

サイコロジカル・ボディ・ブルース解凍 ~僕は生まれてから5年間だけ格闘技を見なかった~

サイコロジカル・ボディ・ブルース解凍 ~僕は生まれてから5年間だけ格闘技を見なかった~

といってもまだ手元に届いたばかりでこれから読むところなのですが、パラパラとめくってみたところ「近藤有己西村修は同系統のコンセプトを有している唯二人の人物だ」とか、アルティメット・ロワイヤルを見て「すんごく面白い!猪木の謎かけ見事!」と興奮している様子とか、「ヨネ原人から演歌歌手へ。」というフレーズとか、何だかエラいことになっている! 早く読まないと!
しかし一時ほどではないにせよ、プロレス本というジャンルが様々に出版されている中で、わたくしの知る限りこの本は業界内では全くといってよいほど興味を持たれていないように思うんですけど。どれくらい知られていないかというと、中西選手が「からくりTV」でレギュラーコーナーを持ってるっていうのと同じくらい知られていない気が。そもそもこの本が、プロレスファンを相手にしているのかどうか微妙ですけれどね。逆にこれまでの熱烈な菊地成孔ファンは当然この本も購入するでしょうけれど、プロレス格闘技に興味がないとかなりハードル高いと思います。
それにしてもamazonで注文して1ヶ月以上待たされたっつうことは相当数の方が読んでいるということで、それはプロレス格闘技がブームだから!ということでは残念ながらなくて菊地成孔ブームだから、に違いない。この本は書店だとどの棚に置かれるんでしょうか。「人生は3つ数えてちょうどいい」とか「鬼嫁薬局」と一緒に並んでいるわけじゃないでしょうね、たぶん。
業界外の、しかも鬼才と呼ばれている最も旬な1人が今のプロレス格闘技界をどう見ているのか。これは非常に興味のあるところです。早々に読んでまたご報告いたします。でも難しい言い回しが多くて寝っ転がりながら読むわけにはいかなそうなんだよな・・・。
ちなみにこの本を書くにあたりPRIDEから新日本からドラゲーからみちのくから相当幅広くご覧になったようなので、絶対わたくしどこかでバッティングしていると思うのです。残念ながらSAMURAI視聴者ではないとのことですが。「インディーのお仕事」見せて差し上げたいです。