懐かしくほろ苦く。

sayokom2004-09-28

元いた会社から社内報が送られてきた。お正月と夏の年2回、その会社は関連会社を含めた全社員の顔写真とコメントを社内報に載せるのだ。不義理にしていたせいで何年も送られては来なかったのだけど、たまたま同期と連絡を取る機会があり、送ってもらえるようにお願いしたのです。ページからこぼれてくる懐かしい皆様の笑顔。嬉しく、そしてちょっと胸が痛む。
静岡の局アナ出身なせいで生まれも静岡だと思われがちなのだけど、静岡にいたのはたった4年だけ。5歳から住んでいる実家は神奈川県小田原市で、高校は横浜、大学は東京。でもどんな土地よりも郷愁を覚えるのは静岡、という土地の名。初めて社会に出て、初めてひとり暮らしをし、ここでたくさんのことを私は覚えた。お酒の飲み方、おでんに鰹節の粉をかけること、晴れた日の富士山の美しさ、「何があっても言い訳しない」という仕事のスタイル、パルサー*1の立て方しまい方、失恋の痛手、友達のありがたさ、冷酒を飲み過ぎた朝のめくるめく感覚。小賢しく可愛げのなかった私を最終的に育て上げてくれたのは、あの4年間だった、間違いなく。
もしあのまま静岡にいたらどうなっていただろう?と思うこともある。でも東京に出て来て、そしてプロレスの仕事をするようになってもうあの頃の時間の倍を過ごしてしまった。やっぱりこうなるしかなかったんだな、とも思う。
写真はISBN:4140111127辞典。まだ入社前の研修期間にこの辞典とアナログのストップウォッチを買った。アナウンサーの必需品だった。呉服町の江崎書店で、料理本と一緒に買ったのを覚えている。
愛すべき静岡の皆さん。私は元気でやっています。まだあの天気予報は流れているんでしょうか*2。あの頃みたいにもう日本酒も飲まなくなりました。あの頃呑んだ「磯自慢」がやっぱり一番美味しかったなあ。

*1:テレビのロケ用の照明器具

*2:夜中の自動送出の天気予報の声を数十パターン録音したのです。確か辞めた直後だと思った。