「優里佳!チャンピオンだよ!」と桃野選手は叫んだ ~センダイガールズ9.27新宿大会


センダイガールズプロレスリングのリングには、強くてかっこよくて、自分もこんなふうに戦いたい!と思える選手たちが集っている。そもそもセンジョを率いてきた里村明衣子選手が、凜として誇り高くて強くて純粋で、いつご一緒してもこちらの背筋が伸びる、憧れの存在だ。

センジョの選手たちはみな里村選手のそのスピリットをそれぞれに受け継ぎつつ、見事に個性豊かに花開いた。現在のシングル王者の岩田美香選手は鋭く、DASHチサコ選手は苛烈で、橋本千紘選手は分厚い。若手の選手たちもカラフルで、かつプロレスラーとして力強い。里村明衣子選手が海外に拠点を移し、大変だった時期もあったはずだけれど、今は他団体から参戦する選手も含めて層が厚く、魅力的なラインナップが揃う。

いまセンジョで凄いなと思うのは、タッグチームが粒ぞろいなところだ。DASHチサコ&松本浩代の令和アルテマパワーズ、橋本千紘&優宇のチーム200kg、水波綾&愛海の愛海と水波(まなみとみずなみ)、桃野美桜&岡優里佳のボブボブモモバナナ。後ろ2つのチームは滑舌が難しいので口に出す時には要注意だ。ここ5年にわたるアルテマとチーム200kgの名勝負数え歌はものすごくて、この2チームからベルト奪うチームは一生出てこないんじゃないかと思っていたので、今年に入ってその扉をまなみみずなみとボブボブがこじ開けたのには本当に感動した。

そして27日新宿大会のメインで行われたのが、センダイガールズワールドタッグ王座戦、桃野&岡のボブボブモモバナナvs橋本&優宇のチーム200kgのタイトルマッチ。王者チームの桃野&岡が、橋本&優宇を指名したことで組まれたタイトルマッチだった。ボブボブモモバナナは7月の後楽園でチャンピオンになったばかりで、何も初防衛戦で最強のチームを指名しなくても、とは思ったが、タッグ王者として歩んでいくためにはいつかは対戦しなければいけない存在だった。

橋本&優宇のチーム200kgは、BON JOVIのイッツマイライフで入場する。誰もが知っているこの曲、いいタイミングでお客さんに向けてキメポーズをする。盛り上がらないわけがない。分厚くて強くて、その上キュートなこの二人はこれまで当たり前のように男子選手とも戦ってきた。どのリングでもお客さんを沸かせる最強タッグだ。

チャンピオンのボブボブモモバナナは200kgとは真逆の、小柄ですばしっこくてポップで、スーパーボールみたいなタッグチームだ。当然ながら歴然とした体格差があるので、早く、高く、機動力で勝負したいところだが、キャリアで劣る岡選手がどうしても捕まってしまう。コーナーから桃野選手が声の限りに叫ぶ。

「優里佳!チャンピオンだよ!」

ここぞというところで桃野選手がアシストして、1+1が2以上の力で立ち向かうけれどいかんせん相手はチーム200kgだ。あっさりと文字通り跳ね返されて、場内からは心の底からの「うわあ」というため息がこぼれる。最後はボブボブモモバナナを皮ごと頂く勢いで、チーム200kgが完食してタッグタイトルが移動した。

その後に挑戦表明してきたスターダムのH.A.T.E.勢、刀羅ナツコ選手のベルト挑戦アピールとその後の乱闘を、敗れた元王者チームはどんな気持ちで聞いたのだろうか。試合後に「誰が見てもチーム200kgの勝利を予想したと思うんですけど、それを裏切りたかった」と桃野選手は悔しそうだった。センジョのタッグ戦線に新たなH.A.T.E.勢が参戦してきたのは面白くなりそうだけれど、若くてまだ伸びしろがたくさんあるボブボブモモバナナが、また心も体も更に強くなってこの荒波に帰ってきてくれるのを楽しみにしている。

試合後に美味しく頂く恒例のおにぎりに攻撃を加える刀羅ナツコ選手。悪い

「お米の恨みは恐ろしいぞ!」とのチャンピオン。平たくなってもおにぎりはおにぎりです